専任技術者になるために必要なこと(一般建設業編)
ご訪問ありがとうございます
石川県七尾市の行政書士多賀と申します
今回は建設業許可の2つめの要件
「専任技術者が営業所ごとにいること」について説明します
これも先の「経営業務の管理責任者」と並んで重要な要件の一つとなります
目次
専任技術者の全体像
専任技術者とは建設工事において専門知識を有する技術者の
建設工事に関する請負契約の適正な締結や履行を確保するために設置される者です
わかりやすく説明しますと、
ある建設業種の専門の知識や経験を持っている方です
専任技術者は原則として営業所の中で仕事をすることを想定しています
一般建設業許可の専任技術者の要件
専任技術者になるためにその取得したい許可が一般建設業許可なのか
特定建設業許可なのかで要件が若干変わってきます
まずは一般建設業許可を取得するときの専任技術者の要件についてみてみましょう
一定の資格を有する者
それぞれの試験合格者を指します
例えば1級建築士もしくは2級建築士の免許をお持ちであれば、
建築一式工事の専任技術者の要件を満たします
(ちなみに1級建築士の免許は特定建設業許可の専任技術者の要件をも満たします)
また、おひとりの方が複数の資格を保有している場合は
そのおひとりの方で複数の建設業種の専任技術者となれます
Aさんが2級建築士と2級造園施行管理技士をお持ちであれば、
建築一式と造園工事の専任技術者となれます
資格の中には資格に合格しただけでなく、
試験合格後に実務経験が必要となるものがあるので注意が必要です
(電気通信主任技術者だと5年の実務経験が必要です)
資格にて専任技術者となるには、資格保有者であることを証明するために
合格証や資格者証の原本が必要になるので、大切に保管していただけると証明がスムーズです
どの資格を保有すれば建設業種の専任技術者となれるのかは公表されていますが、
調べるのが面倒くさいなーと思う方はご連絡いただければ、
回答させていただきますので、お気軽にご連絡ください
学歴の有無を問わず、1つの申請業種について10年以上の実務経験を有する者
申請業種について10年以上の実務経験があると専任技術者となれます
例えば、左官工事などを行う仕事をされている場合、
左官工事の実務経験が10年以上あると左官工事業の専任技術者となれます
※石川県知事許可においては実務経験を使って専任技術者になれるのは
1人につき2業種までです
注意していただきたいのは左官工事と石工事の両方を10年間みっちりやってきたとしても
両業種の専任技術者とはなれません。どちらか一方です
両業種の専任技術者になるのであれば、
左官工事を10年、石工事を10年の計20年が必要です
実務経験とは
実務経験とは建設工事の施行に関する技術上のすべての職務経験をいいます
建設工事の発注にあたって設計技術者として従事した経験や、
現場監督技術者として監督に従事した経験、
土工及びその見習いに従事した経験なども含みます
しかしながら、ただ単に建設工事の雑務のみの経験や事務については含みません
複数業種に係る実務経験の緩和措置
実務経験で2業種の専任技術者になるには、原則20年の実務経験が必要ですが
その例外として緩和措置があります
緩和措置の例
なれる専任技術者 | 実務経験 |
大工工事 | 1.建築工事業及び大工工事業に係る建設工事に関し12年以上の実務経験を 有する者のうち、大工工事業に係る建設工事に関し8年を超える実務経験を 有する者 |
上記の例について説明します
大工工事の実務経験が8年あり、建築一式工事が4年の実務経験があると
大工工事の専任技術者になれます
そして、その後建築一式工事の実務経験があと6年満たすと
大工工事と建築一式工事の2業種の専任技術者になれます
(合計で18年必要)
なれる専任技術者 | 実務経験 |
大工工事 | 1.建築工事業及び大工工事業に係る建設工事に関し12年以上の実務経験を 有する者のうち、大工工事業に係る建設工事に関し8年を超える実務経験を 有する者 2.大工工事業及び内装仕上げ工事業に係る建設工事に関し12年以上の 実務経験を有する者のうち、大工工事業に係る建設工事に関し8年を超える 実務経験を有する者 |
とび・土工工事業 | 1.土木工事業及びとび・土工工事業に係る建設工事に関し12年以上の 実務経験を有する者のうち、とび・土工工事業にかかかる建設工事に関し 8年を超える実務経験を有する者 2.とび・土工工事業及び解体工事業に係る建設工事に関し12年以上の 実務経験を有する者のうち、とび・土工工事業に係る建設工事に関し 8年を超える実務経験を有する者 |
屋根工事業 | 1.建築工事業及び屋根工事業に係る建設工事に関し12年以上の 実務経験を有する者のうち、屋根工事業に係る建設工事に関し 8年を超える実務経験を有する者 |
しゅんせつ工事業 | 1.土木工事業及びしゅんせつ工事業に係る建設工事に関し12年以上の 実務経験を有する者のうち、しゅんせつ工事業に係る建設工事に関し 8年を超える実務経験を有する者 |
ガラス工事業 | 1.建築工事業及びガラス工事業に関する建設工事に関し12年以上の 実務経験を有する者のうち、ガラス工事業に係る建設工事に関し8年を 超える実務経験を有する者 |
防水工事業 | 1.建築工事業及び防水工事業に係る建設工事に関し12年以上の 実務経験を有する者のうち、防水工事業に係る建設工事に関し8年を 超える実務経験を有する者 |
内装仕上工事業 | 1.建築工事業及び内装仕上工事業に係る建設工事に関し12年以上の 実務経験を有する者のうち、内装仕上工事業に係る建設工事に関し 8年を超える実務経験を有する者 2.大工工事業及び内装仕上工事業に係る建設工事に関し12年以上の 実務経験を有する者のうち、内装仕上工事業に係る建設工事に関し 8年を超える実務経験を有する者 |
熱絶縁工事業 | 1.建築工事業及び熱絶縁工事業に係る建設工事に関し12年以上の 実務経験を有する者のうち、熱絶縁工事業に係る建設工事に 8年を超える実務経験を有する者 |
水道施設工事業 | 1.土木工事業及び水道施設工事業に係る建設工事に関し12年以上の 実務経験を有する者のうち、水道施設工事に係る建設工事に関し 8年を超える実務経験を有する者 |
解体工事業 | 1.土木工事業及び解体工事業に係る建設工事に関し12年以上の 実務経験を有する者のうち、解体工事業に係る建設工事に関し 8年を超える実務経験を有する者 2.建築工事業及び解体工事業に係る建設工事に関し12年以上の 実務経験を有する者のうち、解体工事業に係る建設工事に関し 8年を超える実務経験を有する者 3.とび・土工工事業及び解体工事業に係る建設工事に関し12年以上の 実務経験を有する者のうち、解体工事業に係る建設工事に関し 8年を超える実務経験を有する者 |
学歴+実務経験
通常実務経験だけだと10年間必要ですが、学歴があると短縮されます
申請業種に関連する学科を卒業 ー> 大卒(短大含む)+3年以上の実務経験
申請業種に関連する学科を卒業 -> 高卒や専門学校卒+5年以上の実務経験
※専門学校でも高度専門士、専門士の称号を持っている人は大卒扱い(3年)です
それ以外の専門学校は高卒扱い(5年)です
で一般建設業の専任技術者になれます
以下表が指定学科です
許可を受けようとする建設業 | 学科 |
土木工事業 舗装工事業 | 土木工学(農業土木、鉱山土木、森林土木、砂防、治山、緑地または造園に関する学科を含む。以下この表において同じ)、 都市工学、衛生工学または交通工学に関する学科 |
建築工事業 大工工事業 ガラス工事業 内装仕上工事業 | 建築学または建築学に関する学科 |
左官工事業 とび・土工工事業 石工事業 屋根工事業 タイル・れんが・ブロック工事業 塗装工事業 解体工事業 | 土木工学または建築学に関する学科 |
電気工事業 電気通信工事業 | 電気工学または電気通信工学に関する学科 |
管工事業 水道施設工事業 清掃施設工事業 | 土木工学、建築学、機械工学、都市工学または衛生工学に関する学科 |
鋼構造物工事業 鉄筋工事業 | 土木工学、建築学または機械工学に関する学科 |
しゅんせつ工事業 | 土木工学または機械工学に関する学科 |
板金工事業 | 建築学または機械工学に関する学科 |
防水工事業 | 土木工学または建築学に関する学科 |
機械器具設置工事業 消防施設工事業 | 建築学、機械工学または電気工学に関する学科 |
熱絶縁工事業 | 土木工学、建築学または機械工学に関する学科 |
造園工事業 | 土木工学、建築学、都市工学または林学に関する学科 |
さく井工事業 | 土木工学、鉱山学、機械工学または衛生工学に関する学科 |
建具工事業 | 建築学または機械工学に関する学科 |
どうでしょうか。上記の表が指定学科として公表されています
はっきり言ってご自身の卒業学科が該当するかは不明ではないでしょうか
該当しそうだけど、しなさそう。ってのが率直な意見です
指定学科に関してはやはり、審査官に確認したほうが良さそうです
仮に確認するのが2,3週間かかるとしても実務経験が数年短縮するなら
確認したほうがメリットがあると言えるでしょう
以上が一般建設業許可の専任技術者の要件です
特定建設業許可の専任技術者の要件はまた次回説明させていただきます